​28日(土)

講座詳細・講師紹介​

パナマ文書・パラダイス文書報道の舞台裏

~国境も会社も越えるコラボとICIJの挑戦

 タックスヘイブン(租税回避地)の秘密を暴露し、世界中に衝撃を与えた「パナマ文書」「パラダイス文書」の報道。いずれも、米国の調査報道NPO、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のもとに世界各国から多数の報道機関、数百人規模の記者が参加して成し遂げました。国も所属組織も違うのに協力し合った記者たち。取材方針、情報源から得た情報、出稿予定のすべてを共有し、世界一斉の報道解禁を全員厳守するコラボレーション(協業)はどのようにして実現したのか。ピンチはなかったのか。デジタルデータを扱う秘密は。報道の成果、価値とこれからの展望は――。ICIJでアジアを担当するアレッチさんは、早稲田大学大学院ジャーナリズムコースで学ぶなど日本のメディア事情にも詳しい記者です。ナマの話を聞き、議論しましょう。新しい日本型コラボのアイデアが浮かぶかもしれません。

シッラ・アレッチ(国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)アジア担当

 1982年イタリア・ローマ生まれ。2007年にローマ大学大学院東洋学研究科を修了。東京外国語大学、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコースで学んだ後、ブルームバーグニュース、ハフィントン・ポストなどを経て、ICIJのパナマ文書、パラダイス文書などのプロジェクトに取り組む。2015年にはコロンビア大学ジャーナリズムスクール(調査報道コース)にて修士号を得た。

警察の隠しカメラ設置を暴いた報道と、その舞台裏

 2016年8月、大分合同新聞が警察の不正な情報収集活動を暴いた。同年6月の参院選公示直前、野党の支援団体が入る建物の敷地に別府署が隠しカメラを設置し、この建物に誰がいつ出入りしていたかを秘かに記録していたのだ。選挙の自由を圧迫しかねない行為だった。報道をきっかけに警察に批判が殺到。松坂規生県警本部長は陳謝、坂口正芳警察庁長官も「不適正な捜査」と認めた。捜査幹部ら警察官4人が建造物侵入罪で略式起訴、罰金の有罪判決(略式命令)が確定する一方、警察の捜査や情報収集と市民のプライバシー、監視社会の恐ろしさをめぐり広範な議論に発展した。このスクープはどうやって得られ、どうやって市民の元に届けられたのか。その困難と意義を、担当者が報告する。

藤川朋文(大分合同新聞社報道部次長)

 1970年生まれ、大分県出身。早稲田大学卒。92年、大分合同新聞入社。記者歴は、県内の支社勤務を除くと社会部が中心。社会部時代は警察、司法、県政などを担当した。取材した主な事件は、2000年に大分県野津町(現・臼杵市)で起きた一家6人殺傷事件、02年に山香町(現・杵築市)で起きた外国人留学生による「恩人殺人事件」、県警捜査費疑惑など。陸上自衛隊日出生台演習場での米軍演習、九州北部豪雨なども取材。13、14年に県内支社局を担当する地域報道部次長、15、16年に報道部次長(社会班)。16年に発覚した別府署隠しカメラ事件の際は社会班デスク。17年から政治経済班デスク。

情報公開制度をどう使うか 実践テクニックと「公文書クライシス」

 報道公金支出、公共施設での事故、公務員、警官などの不祥事など、情報公開制度を使った取材報道はますます盛んになり、注目を集めています。「こんなことを調べてみたい」というアイデアが、実際の公文書公開請求にうまく落とし込めるか、効果的な請求法は? 記者のための情報公開実践テクニックを、長年公文書保管と情報公開の推進に取り組み、公文書開示制度に詳しい三木由希子さんと探ります。
 さらに、公文書管理や情報公開の実態を掘り下げるキャンペーン「公文書クライシス」を展開してきた毎日新聞の日下部聡記者に、その取材での独創的な情報公開請求活用法を話してもらいます。通常の使い方とは少し違う「発想の転換」に基づいた手法とは何か-。2016年のJCJ大賞を受賞した「憲法解釈変更 内閣法制局 経緯公文書残さず」など、他の成果にも触れながら、取材ツールとしての情報公開請求の可能性を探ります。

三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)

 大学在学中より「情報公開法を求める市民運動」にかかわり、1999年の情報公開クリアリングハウスへの組織改編とともに室長、2011年より理事長。情報公開制度を活用し、情報のアーカイブ化などを行うほか、制度を使う市民、NPO、報道関係者、研究者などを支援している。自治体情報公開制度の運用や権利救済に審議会委員などとしてもかかわる。共著に『高校生からわかる政治の仕組み 議員の仕事』(トランスビュー)、『社会の見える化をどう実現するか―福島原発事故を教訓に』(専修大学出版)など。
日下部聡(毎日新聞文化くらし報道部生活担当部長)

 1970年生まれ。筑波大国際関係学類卒。93年毎日新聞入社、浦和(現さいたま)支局、サンデー毎日編集部などを経て東京本社社会部。「『憲法解釈変更の経緯 公文書に残さず』など内閣法制局をめぐる一連の報道」で第20 回新聞労連ジャーナリズム大賞、2016年度日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞受賞。警察担当と遊軍が長い。2016-17年、英オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所研究員。

「バドミントン闇カジノ問題」「安藤ハザマによる除染費不正取得疑惑」連続スクープ記者の語る舞台裏
 2016年、リオデジャネイロ五輪を間近に控え、メダルが期待されていた男子バドミントンのエース選手が、違法な闇カジノ店に出入りしていたことが報道で発覚しました。また2017年には、準大手ゼネコン「安藤ハザマ」が、 東京電力福島第1原発事故に伴う除染事業をめぐって改竄した領収書を行政側に提出し、除染費を不正に水増し取得していた疑惑が報じられ、東京地検特捜部が捜査に乗り出す事態に発展しました。この2つのスクープを個人で掘り起こし、2年連続で新聞協会賞にエントリーされた記者に、報道に至るまでの経緯や舞台裏を語ってもらい、調査報道がなされるための条件や魅力、課題などを一緒に考えたいと思います。
小野田雄一(産経新聞社会部記者)

 1981年生まれ。同志社大院卒。2006年産経新聞社入社。千葉総局、福島支局、文化部、社会部(検察庁担当)、ロシア留学などを経て、2017年9月から警視庁サブキャップ。2016年に「バドミントン闇カジノ問題」で新聞協会賞エントリー(最終選考)。2017年に「安藤ハザマによる除染費不正取得疑惑」で新聞協会賞エントリー(1次選考)。


データとテクノロジーを活用しよう ~デジタル時代のツール、求められるリテラシーとは
 (お願い)表計算ソフト「Excel」がインストールされたパソコンをお持ちの方は、当日ご持参ください。

 官庁や自治体から発表される報道資料の中にExcelフォーマットのデータが含まれることがあります。ファイルを開くと表形式の画面がデスクトップ上に広がり、パッと中身を確認したら閉じ…ないでください。Excelは表「表示」ソフトでなく、表「計算」ソフトです。取っつきにくい印象はありますが、使ってみると意外と便利。高度な分析ツールとして活用することが可能です。
 このセッションでは表計算ソフトの初歩~応用をハンズオン形式で説明します。画面の説明、データの整形(結合や解除)、データの抽出・並び替え、関数(割合、平均)などを実際にExcelを操作しながらマスターしていきましょう。また、2つの異なるデータを照合する「突き合わせ」方法についても紹介します。
後半、音声認識を使ったトリテキツールや文字認識を使った紙資料のデジタル化についても触れたいと思います。

川上貴之(時事通信社編集局ニュースセンターデジタル編成部)

 2008年、技術職として入社。システム開発局、デジタルメディア事業本部を経て、17年より現職。プロ野球CS進出可能性シミュレーション(12年)、地震速報の自動記事作成(13年)、五輪記録データの記事化、再現・広島被爆状況図の作成などに取り組む。小技テクノロジーをニュースルームに還元することが目標。

ランチョンセッション・ラウンドテーブルA

若手記者の悩みを語ろう

 希望や志を胸に報道の世界に飛び込んだが、「こんなはずじゃなかった」。そんな思いを抱いたことは、少なからず誰にでもあるのではないでしょうか。
 日々の業務に疑問を抱いている、多忙で休みがない、先輩や上司からの指示がきつい…。若手記者が集まる勉強会などでは、実際にこういった声が聞かれます。私自身、20代を振り返ると、常に不安で何かに追われているような日々だった気がします。
 20~30代は結婚や出産、子育てといった転機が訪れる人も少なくありません。「プライベートも仕事も充実させたいけれどどうしたらいいのだろうか」という悩みは、男性、女性ともに共通するものではないでしょうか。
 会社の枠を越えて、多くの若手が集まるこの機会に語り合いませんか。それぞれの悩みや不安を共有できる場にできればと思っています。

進行:松島佳子(神奈川新聞記者)

 1982年、神奈川県生まれ。2005年、神奈川新聞社に入社。運動部、県警、川崎支局、司法担当を経て、13年から米国シアトルの州立ワシントン大学に1年間留学。帰国後、報道部(遊軍)、デジタル編集部を経て、現在は藤沢支局。神奈川新聞・長期連載「時代の正体」の取材班として、2016年の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞。
 

ランチョンセッション・ラウンドテーブルB

女性記者のキャリアパスを語ろう

 女性活躍推進がうたわれ、女性記者の採用が増えています。でも報道の職場は長い男性社会の慣習もあって、深夜に及ぶ長時間労働が続いているように感じます。転勤も多いこの業界で結婚、出産後、働き続けられるのか。両立の展望が見えずに悩んでいませんか。
 結婚、出産は記者のキャリアにとってどうなのか。保育園のお迎えで時間の制約はできるけれど、その分仕事の効率が上がる面もある。育児や介護の経験を通して、見えなかった社会の課題が見えてくることも。女性が増えて、記者の働き方が変われば、男性も女性も、子どものいる人もいない人も、みんなが働きやすい職場になるんじゃない?
 「いつ結婚・出産するか」「上司や職場の理解を得るには」「仕事も家族も大事にしたい」。女性の記者人生は「?」だらけ。迷いや不安、思いをざっくばらんに話し合い、「なりたい自分」像を見つけていきましょう。
進行:山脇絵里子(共同通信社会部次長)

 1992年共同通信社入社。大阪支社勤務だった96年に長女を出産。その後社会部で厚生労働省や司法、五輪・サッカーW杯などを担当。主にストーカーやDVといった女性に対する暴力の問題、女性の政治参画、終末期医療、児童虐待などのテーマを手掛けてきた。著書は「いのちの砂時計 終末期医療はいま(文庫)」(共著、新潮社)、「改訂ストーカー 被害に悩むあなたにできること リスクと法的対処」(共著、日本加除出版)。


ランチョンセッション・ラウンドテーブルC

ミッドライフ・クライシス!? 中堅・ベテラン記者の生き方を語ろう

 必死に駆け回っていた新人時代を乗り越え、中堅と呼ばれるようになったと思ったら、あっという間に10年、20年。自分で現場に行くよりも、部下や後輩に指示を出すことのほうが多くなり、上司と部下との間で板挟みになることも増えます。一方で自身の健康や子供の教育、親の介護など仕事以外の懸案が押し寄せてきます。ベテランと言われるようになった世代でも、日々の仕事やキャリアパスに漠然とした不安を抱えている人は少なくないのではないでしょうか。

若手とどう向き合ったらいいのか。チームをまとめるのはどうしたらいいのか。意に沿わない人事異動や、違う職種への配置転換があったらどうするのか。現場にとどまるのか、マネジメントに徹するのか、あるいは新しい世界に飛び出すのか――。メディア業界そのものが揺れ動く今、中高年世代の生き方を率直に語り合いましょう。

進行:野呂法夫(東京新聞横浜支局長)


「総理のご意向」文書報道はこうして実現した 

 学校法人「加計学園」による大学獣医学部新設について「総理のご意向だと聞いている」「官邸の最高レベルが言っている」と記された文書が文部科学省にある――。2017年5月17日に朝日新聞が放ったスクープは、森友学園問題に続いて政権を揺るがす大問題へと発展しました。加計学園の加計孝太郎理事長と安倍晋三首相が友人であることから、国家戦略特区制度を舞台に政策決定がゆがめられたのではないかとの疑惑はくすぶっていましたが、この報道で初めて具体的な証拠が示されたのです。
 端緒は何だったのか。どのように取材を進めたのか。そして、記事化する時にはどんなことに注意し、何が決め手になったのでしょうか。政治部出身で社会部デスクとして取材を指揮した西山さんと、取材班の一人で教育担当として長年のキャリアを持つ氏岡さんに振り返っていただき、議論します。

西山公隆(朝日新聞文化くらし報道部生活担当部長) 

 早稲田大卒。1993年、朝日新聞社入社。久留米支局員、山口支局員、経済部員、政治部員、政治部次長を経て、2016年9月から18年3月まで社会部・地域報道部次長。4月から現職。内閣法制局の想定問答をめぐる文書公開問題、女性企画「Dear Girls」、加計学園の獣医学部新設問題などを手がけた。
氏岡真弓(朝日新聞編集委員) 

 東京大卒。1984年、朝日新聞社入社。水戸支局、横浜支局を経て、1988年に東京社会部。警視庁方面、都庁担当、戦後50年企画担当などを経て1997年から社会部教育班。いじめ、不登校、学級崩壊や、学力低下試問題などを取材。教育エディター(部長)、論説委員・編集委員兼任を経て現職。加計学園問題では、グループとして、「総理のご意向」文書の存在や前川喜平・前文部科学事務次官のインタビューなどを報じた。

 

記者のSNS発信の良い点と困る点、何のため? 何に気をつける?

 ツイッター、フェイスブックといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が急速に普及し、取材でも報道でもその利用が欠かせないものになろうとしている。
 朝日新聞社では「ソーシャルメディアを報道の一環として位置づけ、記事、写真、動画などのコンテンツの発信・共有や、取材の端緒を探す情報収集、社会の多様な価値観や意見に耳を傾けるソーシャルリスニングなど、ソーシャルメディアの活用を一層進める」との方針を対外的に表明し、記者らには、ソーシャルメディアを積極的に使うことが奨励されている。
 一方で、記者によるSNS利用が思わぬ重大な失敗につながることがある。「お酒を飲んだらツイートするな」などの心構えも重要だ。
 朝日新聞社でSNS利用の推進を模索する責任者に実践のコツを語ってもらう。あわせて、ドイツ・ハンブルクで昨年開かれた国際新聞編集者協会(IPI)世界大会や、やはり昨年、長野で開かれたマスコミ倫理懇談会でのSNSをめぐる議論も話してもらう予定。

勝田 敏彦(朝日新聞社ソーシャルメディアエディター )

 1962年兵庫県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、89年に朝日新聞社入社。主に科学記者として災害やコンピューター、医療などを担当。アメリカ総局員やメディアラボ室長補佐などを経て2016年12月から現職。朝日新聞社のソーシャル戦略づくりに取り組んでいる。

“Made in Japan”の幻想  〜外国人技能実習生問題・制作の裏側〜
 国内の製造業や農業、漁業といった、私たちの暮らしを支えるさまざま現場で働く「外国人技能実習生」。違法な長時間労働、法律で定められた最低賃金を大幅に下回る条件で雇用されている実態や制度の問題点を、テレビ東京の経済ドキュメンタリー「ガイアの夜明け」で取り上げた。
 2017年8月の「追跡!絶望職場の担い手たち」と12月の「“絶望職場”を今こそ変える!」では、放送後、大きな反響があったが、一方で取材先からのさまざまな”圧力”も…。「報道」としてどこまでの内容をどのように報じるべきなのか。その時の取材はどうあるべきなのか。制作現場での経験を報告する。
尾西 央行(テレビ東京「ガイアの夜明け」プロデューサー)

 1973年生まれ。大学卒業後、97年に産経新聞社に入社。奈良支局、静岡支局を経て、東京本社社会部。北朝鮮問題取材班(拉致問題)、警視庁(捜査二課、組織犯罪対策三、四課)を担当。2008年にテレビ東京入社。財務省、農水省など各省庁を担当し、「ワールドビジネスサテライト」「ガイアの夜明け」ディレクター。2015年より現職。
宮寺 大(株式会社日経映像 ディレクター)

 1972年生まれ。群馬県出身。大学時代は映画サークルに所属し自主映画を制作。卒業後、株式会社日経映像に入社。2001年から5年間ニューヨークに駐在し、同時多発テロ、イラク戦争下のアメリカを取材。帰国後、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」「カンブリア宮殿」を経て、2012年より「ガイアの夜明け」を担当。 
 

不動産の不思議を報ずるには~取引のカラクリと許認可の不条理 

 個人・企業を問わずすべてのプレーヤーにとって、価格の透明性は何をおいても公正な市場の基本です。なかでも個人資産の7割を占め、さらに年金基金や生保の有望な投資先でもある不動産市場の透明性を確保することは、国民の財産を守ることにつながります。しかし、ある調査によると、日本の不動産市場の透明性は先進国で最低レベルの19位。この国では残念ながら、プライバシー保護などを名目とした不動産業界の反対によって、不動産価格情報を実効的に開示する仕組みが整備されてきませんでした。
 こうしたなか、日経不動産マーケット情報はわずか5人の小所帯ながら、大阪梅田北ヤード入札(3400億円)や、ブラックストーンから中国企業への住宅バルク売却(2600億円)、中国政府系基金による目黒雅叙園の取得(1430億円)をはじめとする数々のスクープを発信。さらに、こうした情報をデータベース化し、英語でグローバルに配信することで、日本の不動産市場に海外機関投資家の目を惹きつけてきました。
 本講演では、世界の年金基金やファンドが関わる国内不動産市場のダイナミズムを紹介するとともに、ペーパーカンパニー(SPC)を駆使した匿名取引の実態を紹介。さらに、都心の大規模再開発に際して乱発される規制緩和とその不透明な政策決定プロセスについても語ります。

本間 純 (日経BP社「日経不動産マーケット情報」副編集長)

 日経BP社で約10年間IT記者を経験した後、2006年より同社のニューズレター「日経不動産マーケット情報」で取材・執筆。国内外の不動産専門家、機関投資家を対象として、数多くのインサイドストーリーの報道と、不動産売買データの定量分析・調査に関わる。同社では、不動産取引データベース商品「ディールサーチ」と、英語版媒体「Nikkei Real Estate Market Report」の開発・運営責任者も務める。1997年慶應義塾大学経済学部卒、2010年早稲田大学ファイナンス研究科修了

 

被害者取材を深めるために~知っておきたいこと 

 被害者のことを伝えるニュースはなぜ、何のためにあるか、記者としてきちんと話せますか?
 被害者や遺族は社会に何を願っていて、記者たちに何を求めているのか。傷ついている人たちにお目にかかったり、取材をお願いしたりするとき、記者は何を踏まえていなければならないか。「匿名」を求める意見の拡大を、どう受け止め答えるべきか――。
 被害者や遺族の報道には誰もが関わります。事件が起きてから、現場に出てからではなく、今、落ち着いて学び、知り、議論することが、仕事の質を高め、心ある振る舞いにつながります。犯罪などの被害者と長く交流しながら報道の在り方を考えてきた経験と、相模原の障害者施設殺傷事件後、息の長い取材報道に携わってきた経験とを共有し、議論していきます。

河原理子(朝日新聞社会部記者)

 1961年生まれ。90年代後半、「性暴力を考える」連載を機に事件事故の被害者の話を聴くようになる。2000年から、地下鉄サリン事件遺族の高橋シズヱさんらと記者勉強会を社外で開く。社内では、性犯罪の書き換え用語の変更や、事件報道の手引きに被害者の章を加えることにかかわる。著書『犯罪被害者 いま人権を考える』、『〈犯罪被害者〉が報道を変える』(高橋さんと編集)など。編集委員、AERA副編集長、甲府総局長などを歴任。
松井裕子(NHK横浜放送局ニュースデスク)

 2002年NHK入局。甲府局、京都局を経て報道局社会部に。東日本大震災の遺族取材、児童虐待問題、文部科学省クラブ等を担当。その後、2016年に起きた障害者殺傷事件の遺族取材班として特設サイト「19のいのち」の立ち上げに関わり、2017年8月に横浜局デスクに異動した後もこの事件の取材・報道に携わる。共著に『ひとりじゃない ドキュメント震災遺児』『それでも生きる 被災地3000人の声』『ルポ 消えた子どもたち』。 
 

世界の調査報道とデジタルジャーナリズム・最新事情報告

 世界各地で取材報道の技法、IT技術とメディアなどをテーマに大規模メディアイベントが数多く開かれています。参加してきた記者に、その内容をシェアしてもらいます。
 世界中のジャーナリストや技術者らが集まり、最新技術、ツールの活用法やフェイクニュース対策を議論する世界最大級のデジタルジャーナリズム団体、米ONA(Online News Association)の年次総会。米「調査報道記者編集者協会」が毎年、デジタル技術を駆使した取材報道をテーマに開くNICAR(全米コンピュータ利用報道研究会)。世界調査報道ネットワーク(GIJN)の2017年南アフリカ・ヨハネスブルグでの大会で見えた、アフリカなどでの「命がけの現場」とこれからの時代に重要な「コラボレーション」、さらに「EBU(欧州放送連合)ビッグデータカンファレンス」で話し合われたデータジャーナリズムの今後――。
国際メディアイベントの熱気が伝わる報告です。刺激を受け、視野と知識を広げましょう。
栗原岳史(NHKネットワーク報道部記者)

 1979年生まれ、05年NHK入局。岡山局を経て、報道局政治部で官邸・防衛・外務・与党・野党を担当。2015年、米スタンフォード大学客員研究員。去年から現職。総理の発言の変遷をテキストマイニングで分析した報道をはじめデータジャーナリズムなどにも力を入れ、デジタルファーストで発信している。最近作は、「衆院選ビッグデータ徹底分析~民意は何を求めたか」のデジタルとクロ現での発信。
澤野未来(読売新聞記者、ONA Japan事務局)
 京都市出身。2004年に読売新聞入社。京都総局、大阪社会部などを経て、メディア局でウェブサービス開発やデジタル企画を担当。15年、スペイン・ESADEビジネススクール(MBA)卒業。16年にメディア関係者やエンジニアらと米ONA(Online News Association)の日本支部「ONA Japan」を設立し、講演会やハッカソンを主催。昨年4月より大阪文化部(デジタル担当)。今年1月からONAJ関西版とも言える「デジタルメディア関西の会(でじめ会)」を在阪メディア有志らと始動し、勉強会を開いている。
山本智(NHKネットワーク報道部)

 平成2年NHK入局。神戸局→経済部→大阪局→山口局→広島局→経済部をへて現在、ネットワーク報道部に所属。
NHKのニュースサイト「NEWS WEB」の編集や制作業務を担当。
全くのノンプログラマーですが、データの分析や可視化に興味があり、QGIS(地理空間情報解析ツール)やPythonなどを勉強中です。日本記者クラブの記者ゼミIT講座の運営メンバーでもあります。

 

パソコンも上手く使えない、アナログな私がサイバーを取材する

~記者の専門性をどう高めるか

2 008年以降、サイバーセキュリティとプライバシーについて取材をしています。もともとメカ音痴で、コンピュータ的な話題は避けてきたにもかかわらず、ひょんなことから社会部ネット班のデスクになってしまいました。子どものネット問題を取材した連載「親は知らない」や、サイバー攻撃や情報流出についての取材や、最近、取り組んでいるネット広告の取材などについてお話します。
若江雅子(読売新聞東京本社編集委員)

 1965年生まれ、1988年入社、北海道支社を経て1992年より東京社会部。警視庁クラブ、農水省クラブ、公取委クラブなどを経て2008年よりデスク、ネットなどを担当。2014年より編集委員

 

グーグルによる記者のためのネット活用術

~一段上手の検索術から取材に生かせるマップ利用まで
 記者の仕事は、ググっても出てこない情報を見つけて書くこと…とはいえ、まずは基礎情報の収集にネット検索は欠かせません。既に明らかになっている情報を頭に入れ、関係者の名前を探り、関係公文書が公表されていないかどうかを調べることは基本といえましょう。こうした予備調査の際、ほしい情報と無関係なページが多数引っかかって途方に暮れること、ありますよね…?
狙っている情報や文書を絞り込んで検索する方法をご存じでしょうか。記者、編集者の経験を持ち、現在グーグル日本法人広報部長の河野あや子さんに、ちょっと便利なグーグル検索の技をはじめ、取材ですぐに使えるネット活用術を「直伝」していただきます。
河野あや子(グーグル日本法人執行役員広報部長)
 2000年、慶應大学環境情報学部卒業後、ジェイティービーに入社。出版事業局にて『ワールドガイド』などの海外ガイドや会話集を手掛ける。退社後はフリーランスとして旅行記事の執筆や『ジャパンタイムズ』の書籍編集に携わる。2005年、海運業界紙『日刊海事プレス』記者として不定期船を担当。翌年、日産自動車にCEO専属広報として入社し、企業広報などを経て2010年よりグーグル広報部。2014年に広報部長に就任。

 

なぜ今、戦争を調査報道するのか  

~NHKスペシャル「戦慄の記憶 インパール」「原爆死 ヒロシマ72年目の真実」でのアプローチと手法を公開

 無謀な戦争で「白骨街道」と呼ばれるほどの死者を出した旧日本軍の「インパール作戦」。インドとミャンマーの国境地帯は戦後長く未踏の地だったが、長い交渉の末に現地での行軍の道程を記録し、イギリスに保管されていたスクープ映像や新資料、証言を入手してNHKスペシャル「戦慄の記憶 インパール作戦」は作られた。放送後、「#あなたの周りのインパール作戦」が流行るほど、大きな反響を呼んだ。
 しかし、重要な一次資料である証言や手記は入手が困難なうえ、「主観だ」「フェイクだ」と言われかねない。さらに、「その時、何が起きていたのか」を再現するため、兵士一人一人の行動から当時の気象まで、膨大なデータを検証して表現する必要がある。
 講座では、取材したディレクターが過去に迫る手法や「ファクト」として伝える表現方法を公開するとともに、なぜ、いま戦争をテーマにするのかについて語る。また、Nスペ「沖縄戦全記録」(新聞協会賞)から「原爆死」「インパール」にまで使われているビッグデータ可視化の担当者が、その手法と課題を伝える。

笠井清史(NHK社会番組部チーフディレクター)

 1966年生 90年入局 名古屋局、報道局社会番組部などでNHKスペシャルやクローズアップ現代などの取材/制作を手がける。名古屋ではNスペ「いじめ 子どもたちのSOS」、報道局ではクロ現「追跡 再生医療トラブル~体性幹細胞治療の闇~」など、国内の社会的な問題を中心に発信してきた。昨年、Nスペ「戦慄の記録 インパール」で芸術祭優秀賞。
今井 徹(NHKネットワーク報道部副部長)

 1969年生 94年入局 京都局、報道局科学文化部で記者、名古屋局で遊軍キャップ、福井局で原発担当デスク。災害・気象センターでは「緊急地震速報」のあのチャイム音を制作。2014年からデータジャーナリズムを担当し、ビッグデータ可視化システム「NMAPS」を独自開発。Nスペ「戦艦武蔵の最期」「原爆死 ヒロシマ72年目の真実」「戦慄の記録 インパール」など携わった話題作多数。

 

情報公開だけじゃない!オープンデータでこんなに入手 
取材に役に立つテクニックを公開します

 調査報道といえば、とにかく「情報公開」と思っていませんか?
 確かに情報公開は重要で、いまではそれ無しでの調査報道は考えられません。でも、ようやく入手したデータが「黒塗り」で全然わからない、なんてこともよくあるのでは?
 その一方で、取材にとても役に立つデータがオープンになっているケースは、実はたくさんあります。個人情報から当局の調べの内容まで、びっくりするような情報や取材の端緒が手に入ることも。情報の入手方法、利用方法は一つや二つではありません。
この講座では、NHKで毎年行われている「調査報道研修」で、10年にわたって講師を務めてきたデスクが、実際に調査報道で使われた情報やデータの入手方法、そして効果的な利用方法を紹介し、単なる「ニュースの裏話」ではない実用的なテクニックを伝えます。
熊田安伸(NHK報道局ネットワーク報道部専任部長)

 1967年生まれ、90年NHK入局。沖縄局、報道局社会部で国税・外務・国会を担当し「公金」テーマに調査報道。新潟局、仙台局で震災報道を指揮。06年、民事裁判で証言を拒絶し、最高裁が記者の取材源秘匿を認める初決定を出す。昨年、デジタルと地方のネットワークを融合した新部署を立ち上げ。Nスペ「追跡 復興予算19兆円」でギャラクシー大賞等。「調査報告 日本道路公団」で芸術祭優秀賞。

 

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報道実務家フォーラムは、調査報道を支える非営利ジャーナリズム団体の国際組織「世界調査報道ネットワーク」(GIJN)に加入しています